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2004.04.15

『漆黒の羽根の天使』(二枚)


「じゃあ俺のターン、戦闘フェイズ」
 俺の言葉に、にきびだらけのノリユキの顔が「にまっ」と笑みを浮かべるのがわかった。
 人気カードゲームの「マスター・オブ・マジック・アンド・モンスター」、通称MMMでの戦いの最中だ。
 ノリユキは二枚のドラゴンのカードを場に出している。俺の場には天使のモンスターカードが三枚あるが、ノリユキの魔法効果のせいで、全部攻撃終了状態にされていた。俺のターンで攻撃してノリユキを倒せなかったら、ノリユキのターンにはドラゴンの攻撃でこちらは負けることがほぼ決まっていた。俺の残りライフは二点。ノリユキの方は六点だ。
 俺の切り札を使うときが来た。
「魔法効果『天軍のラッパ』で、風属性のモンスターはすべて戦闘前状態に。さらに攻撃力プラス修正四点」
 ノリユキの顔から笑いが消し飛んだのを俺はしっかりと見た。
「三体の『漆黒の羽根の天使』で攻撃。それぞれ攻撃力六点」
 二体の天使はドラゴンにブロックされて破壊された。でも一体の天使の剣がノリユキ本体を貫き、残りライフを0にした。
「あーあ、負けたよ。天使デッキ対ドラゴンデッキの勝負は二勝二敗か」
「へっへっへ、今日は俺がごちそうになる番だな」
 昼休みのカードバトル。勝った方は負けた方から学食の自販機で飲み物をひとつおごってもらえることになっていた。
 十分後、ソーダー水の涼しい喉越しを俺は味わっていた。
 戦いの余韻にひたってカード談義をする俺とノリユキの横を、クラスメートの水島さんが通っていった。じつは俺のお気に入りの『漆黒の羽根の天使』はどことなく水島さんに似ていたりする。
「高校生になってもカードゲーム? 君たち、かわいいなあ」
 くすくすと笑いながら漆黒の長髪を揺らして去っていった我が天使。その後ろ姿を呆然と見送るしかない俺の肩を、ノリユキがやさしく叩いた。


-了-
 
 
(三語即興文投稿作品:「風、ソーダー水、破壊」、追加ルール「天使グッズ(天使の像、絵、何でもいいです)を書き入れてください」)

カードゲームのモデルは「マジック;ザ ギャザリング」です。お互いの初期ライフは二十点。
投稿したあとに聞いてみたところ、やっぱりカードゲームをされない方にはわかりにくかったようです(^^;>

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