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2004.04.01

『鳥人間に捧げる哀歌』(二枚)

 
 最後の鳥人間に俺の投げ弾がからみつき、地面にたたき落としたのが幕引きとなった。
「あんたの投げ弾とあたしのナイフで、この廃墟のモンスターも一掃したな」
 この仕事を一緒に請け負った仲間である女盗賊が、死んだモンスターたちの耳を切り取りながら俺に話しかける。
「ははは、しばらくは盛り場に入り浸って俺は酒、お前はどうせサイコロと仲良くするんだろ」
「ああ、これだけモンスターを倒した証拠があれば、しばらくは遊べるな。……おい、この鳥人間を見てくれないか」
 明るい口調が突然がらりと暗く変わり、震え気味のナイフの先が鳥人間の腕にある青い文様を示した。根っからの楽天家に見えるコイツを動揺させる物でもあったのかと思ったが……どこにでもありそうなタトゥーか何かにしか見えなかった。
「この世界の原世界に存在したというバベルの塔が壊れたとき、一部の人間が言葉を失った。そのなれの果てが鳥人間をはじめとする人間型モンスターだと言うよ……」
「じゃあ、こいつももとは人間だったのか?」
「私、このタトゥーを見たことがあるんだよ……」
 女盗賊が頭を垂れたまま、つぶやいた。
「昔一緒にモンスター退治をした仲間の剣士でさ。大きなヤマを当てて、一生遊んで暮らすんだ、って言ってた……」
 彼女が昔の仲間に捧げたのは、一粒の涙と、紅い髪のひと房だった。自分がいつかこんな死に方をするとしたら、誰かが何かを捧げてくれることがあるだろうかと、俺は思わずにはいられなかった。
 
 
 
-了ー
 
 

 ファンタジー物はじつはとても好きなのですが、そのためにかえってこれまで書けませんでした。思い切って挑戦してみましたが、どうでしょう(^^;>
 タイトルは敬愛する手塚一郎氏の『最後の竜に捧げる歌』へのオマージュでもあります。
(でも手塚さんに見せたら怒られそうな気がする~。関係者各位はご内密にお願いしますね(^^;>)


(『作家でごはん!』【三語即興文in鍛練場】投稿作品
 ルール:「鳥人間」「サイコロ」「バベルの塔」 追加ルール:「感動する話でおねがいします」)

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