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2004.03.28

『抹茶味・漫才・アメリカ』

「デザートは抹茶味のアイスにしようかな~」
 焼き肉が大方片づいてぼくが独り言を言ったとき、エリカはこんな言葉を投げかけてきた。
「はっはっ、抹茶味のアイスとは、トモユキも堕落したもんだよな」
 デートのいい雰囲気を台無しにするようなエリカの言葉に、思わずむきになって反論してしまった。
「だ、堕落ぅ~? 食べ物を好きに選んで何が悪いんだよ」
「味覚を装うようになったら堕落にほかならないね。アメリカを生活習慣病大国に陥れた罠がそれだよ。そもそも味覚が生き物に備わっている理由は、体に必要な栄養分を判別するためと、危険なものを体に取り込まないようにするためだ。それを添加物でごまかすなんて、味覚の意義に真っ向から挑む行為にほかならないのさ」
 うう、手厳しい……今日の彼女は『理屈屋モード』だったのを忘れていた。
「トモユキ、ごめんね、今モード換えるから」
 コトミは彼女のPDA(個人用の携帯情報端末のこと)のダイアルを回して、人工会話プログラムのスイッチを切った。
 と思ったら、コトミはモードを切り替えただけだったみたいだった。今度は漫才モードのエリカのおしゃべりが始まってしまい、ぼくはデザートを頼むタイミングを完全に失ってしまった……。

(了)


(『作家でごはん!』【三語即興文in鍛練場】投稿作品
 ルール:「抹茶味」「漫才」「アメリカ」、追加ルール「登場人物は三人」)


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