« 『厚切りバナナ・トリップ』(三枚) | Main | 三語鍛錬を書いてみて »

2004.03.30

『生徒会室にマンドラゴラはたたずんで』(三枚)

今日も三語鍛錬に参加しました。
今回はライトノベル風を目指してみました~。

 
 
 
「集団失踪した魔術同好会の残した物品が、このドールハウスねえ……」
 生徒会長の古藤は細い顎に指を添えながら眉をしかめた。
「ええ、彼女たち三人のクラス二年四組の精巧なミニチュアですわ」
 古藤の肩に薄くマニキュアを塗った指をそっとかけてしなだれかかったのは副会長の信濃だった。
「む、ちょっと見てくれ信濃くん」
 ガタッという音とともに立ち上がった古藤に、信濃はバランスを失って倒れそうになる。彼女のいつもの直接的なアプローチは、こと生徒会長の彼に関する限りまったく効力を持たないようだった。
「な、なんですの、古藤さん」
「お父さんではないよ、古藤だ」
「ちゃんとそう呼びましたわ」
 苗字について変な被害者妄想があるのが才色完備の会長の欠点だった。
「なにかの切れ端が付着している……根菜類か……?」
「あの、お弁当のたくあんか何かでは?」
「たくあんだと証明できるかい?」
「……ええーっと、古藤会長が自らお召し上がりになる、というのはいかがでしょう?」
「じょ、冗談ではないよ。ええい、こんなものは捨ててしまおう。焼却処分だ!」
 古藤が振りかぶって「燃えるゴミ」と書かれた箱を見据えたとき、『たくあんか何か』が口を利いた。
「すみませーん、捨てないでくださーい」
 のろのろとした口調で、それがいかにも根菜類という感じの声だと古藤は思った。
 一時間後、ドールハウスの人形はきれいに水洗いされ、魔術で人形と化していた魔術同好会の女子生徒三人は無事に元の人間の姿に戻ったのだった。
「魔術の秘密をしゃべったお礼を、お忘れなく~」
 そんなわけで、生徒会室の窓辺には、このときから『自称・マンドラゴラ』と書かれた根菜の鉢植えが幸せそうに青々とした葉を茂らせることになったのだった。


-了-


(『作家でごはん!』【三語即興文in鍛練場】投稿作品
 ルール:「ドールハウス」「証明」「根菜」追加ルール「擬声語を1つ以上入れる」)

|

« 『厚切りバナナ・トリップ』(三枚) | Main | 三語鍛錬を書いてみて »

SS(三語即興文)」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/17870/369802

Listed below are links to weblogs that reference 『生徒会室にマンドラゴラはたたずんで』(三枚):

« 『厚切りバナナ・トリップ』(三枚) | Main | 三語鍛錬を書いてみて »